秘密な花嫁~旦那様は同い年~

「お願い。ずっとずっと私の傍に居て」


我慢していた涙が零れて、慌てて目を擦った。


「目、傷つくから」


愛人が私の手を掴んで擦るのをやめさせ、代わりに頬に伝った涙を愛人が拭いてくれる。


「泣くなって。俺が泣かせたみたい」


「ごめんね」


廊下を曲がった先から人の声がする。


「行こう、マー君。ここ、邪魔になっちゃうから」


病院に入ったドアは救急やお見舞いに来る人の入口になっていて、少し止まってる間にも何人か人が通り過ぎて行った。


「ほんとにマー君が泣かしたって思われちゃうよ?」


「そうだな」


少しだけ笑みを浮かべて愛人を見ると、愛人も微かに笑って私の手を引いて歩き出した。


「マー君。そっち、病室じゃないよ?」


「いいんだ」


手を引かれたまま歩いていると、愛人が病室に一番近いエレベーターと通り越して、どこか別の場所に向かっていることに気付いた。