秘密な花嫁~旦那様は同い年~

「なんか、幸せだなって思って」


「俺も」


少し笑顔を見せて、愛人は前を向いた。


今の私たちには、こんな些細なことさえ幸せに感じる。


文化会館までは、病院から歩いて10分。


大きな通りの横断歩道を渡れば、すぐに着く。


「美結、名前違う?」


展示会場に入ると受付があって、ノートに筆で名前を書くことが出来る。


せっかく来たんだから、私も名前を書くことにした。


「うん。習字書くときは、この名前なの」


習字を書くときは、悠華という名前を使ってる。


華は、習字の先生の名前から貰った。


なんかね、名前を貰ったときは、先生に認めてもらえたのかなって嬉しくなったのを覚えてる。


「マー君も書く?」


筆を差し出す私に、愛人は小さく首を横に振った。