そのあとなんとなく二人ともウトウトしてしまったみたいだった。


微かケータイのバイブ音が聞こえる。


「ケータイ」


隣で眠っている愛人の穏やかな表情を少し見つめたあと、鞄に入ってるケータイを取るためベットから起き上がった。


相手はパパだった。


「もしもしパパ?・・・うん、大丈夫。マー君、目覚ました。・・・うん、分かった。ごめんねパパ。こんな時間に。・・・ありがとう。今から行くね」


パパとの電話を終えて、ケータイを鞄に戻す。


「美結?」


目を擦りながら、愛人が身体を起こす。


「ごめんね、起こして。パパと約束してたの。24時まで病院に居ていいって」


「そっか」


愛人が少しだけ時計に目をやる。


「シンデレラみたいだな」


「夜中の12時までに帰らないと、魔法が解けちゃうもんね」


シンデレラにかかった魔法は、すべてが幻だったかのように一瞬で無くなってしまう。