夢を見た。


愛人とデートしてて、すごく楽しかった。


でもね、人混みに入ったとき、それまでギュッと握られてた手が急に離れたの。


慌てて愛人のあとを追うのに、全然追いつけない。


捜しても捜しても、愛人は見つからない。


悲しくて悲しくて、一人で道路の脇にうずくまってた。


「やだ、マー君。独りにしないで」


ポロポロと涙が零れる。


お願い、私を独りにしないで。


「美結」


優しく名前を呼ばれて顔を上げると、ごめんなと言って私に手を差し出す愛人の姿があった。


「マー君!よかった」


よかった、見つかった。


見つけてくれた。


それからは、手が離れることはなかった。