俺の声に反応したのかは分からない。


夢の中で、俺に会ってるんだろうか?


だったら幸せな夢がいい、と思ってしまう自分はかなりワガママだ。


「マー君・・・」


穏やかに眠っていた美結の顔が、少しだけ苦痛に歪む。


そして涙が一筋、布団の上に零れ落ちた。


夢の中でも、俺は美結を泣かせているのか?


ごめん、美結。


一緒に居てやれなくて。


ゆっくりと手を引き抜こうとする。


「抜けない・・・」


離さないと言わんばかりに強く握りしめられた手。


俺は早々、手を抜くことを諦めた。


美結が目覚めるまで、このままでもいいか。


死ぬから、幸せに出来ないから、そんな理由で美結を遠ざけてきたけど、結局はこうして美結に会うことを俺はずっと望んでいたんだから。