苦しい、苦しい。


「愛人様!」


ああ、またいつもの発作だ。


一柳が慌ててナースコールを押すのが薄らと見える。


別に押さなくていいのに。


いつものことだろ?


どうせ数分で治まるんだから。


自分の身体は自分が一番分かってるつもりだ。


でも、今日は違う。


半端なく胸が苦しい。


だんだん意識が途切れていく。


そろそろそのときが来たのかとさえ思った。


でも、それでいい。


死は、俺が一番望んでいたこと。


そんなことを思いながら、俺は完璧に意識を手放した。