一柳さんが家に電話を掛けてくれたとき、ちょうどパパが帰って来たところだったらしい。


夜中の12時まで、それまでは愛人の傍に居るのを許してくれた。


12時になったら病院を出てきなさいって、パパが言ってたって。


迎えに行くからと。


ほんとは面会時間ももうすぐ終わるけど、一柳さんが病院側にも許可を貰ってくれた。


「私は、そろそろ」


「帰るんですか?」


「ええ。愛人様が目を覚ましたら、病院から連絡を貰うことになってます。ですから、お二人でお過ごしください」


「ありがとう」


一柳さんは愛人の頭をそっとなでると、病室を出て行った。


「マー君、一柳さんに愛されてるんだね」


愛人の頭をなでた一柳さんの目は、とても優しく愛に溢れていた。


「ねえ、マー君。大好きだよ」


早く一緒におしゃべりしようよ。


話したいこと、いっぱいあるんだから。