最初に会ったときみたいに、冷たい目をされたらどうしよう。


おかしいよ、私。


心は会いたいってものすごく叫んでるのに、身体が動かない。


「やっぱり、会えないよ」


「美結様」


また泣きだしてしまいそうな私に、一柳さんが心配そうな顔をする。


「お手紙、しっかり渡しておきますね」


私の考えてることを理解しれくれたのか、一柳さんは優しく微笑んだ。


「ごめんなさい」


「いいえ。下までお送りいたします」


私、愛人に会いたいんだよね?


扉一枚だよ?


どうしてそれを開けられないんだろう。


でも、理由は分かってる。


もうこれ以上、愛人に拒否られたくないんだ。