たいしたことは書いてない。


学校で何があったとか、最近こんな本読んだとか。


もし手紙を読んでくれて愛人が返事を書こうと思ってくれたときに、返事に困らないよう疑問形を必ず手紙に書いた。


この本読んだことある?とか。


ほんとは会いたい。


会いたい、会いたい、会いたい。


手紙を書くたびに、その思いが強くなる。


このまま本当に、愛人は私を無視し続けるんだろうか?


そんなのイヤ。


絶対おかしいもん。


好きだから、傍に居たい。


手紙を書くと、改めてそう思う。


「美結様、大丈夫ですか?」


「ごめんなさい。ごめっ・・・」


泣かないって決めたのに、会いたい気持ちが涙になって溢れてくる。