あれから一柳さんに聞いたところ、おば様はあまり病院に来ていないらしい。


来ても会話らしい会話がないって言ってた。


おじ様も仕事があるからほとんど来ないし、誠さんも愛人に会いに来たことがないって。


だから、病室の中ではいつも愛人と一柳さんだけ。


小さいころからそうだったらしい。


寂しいよね。


だから私は、毎日病院に通う。


もちろん会ってくれるわけじゃないけど、それでも誰かが自分に会いに来てくれるって思って欲しいから。


でもやっぱり会わないとお互いの様子がよくわからない。


「あの、一柳さん」


「はい?」


一柳さんから愛人の様子を聞いた私は、鞄の中から一枚の封筒を取り出した。


淡いブルーの封筒。


愛人と私が好きな、青空に似た色。


「これ、マー君に渡してくれますか?」