秘密な花嫁~旦那様は同い年~

鼻と鼻がくっつきそうなくらい、お互いの顔同士が近い。


「ヤダ。笑ったら、マー君とバイバイしないといけない」


「美結」


愛人が困ったような顔をする。


「生きて」


「ごめん、美結」


生きてという言葉は、いつも愛人のごめんで消されてしまう。


「もう生きてることに疲れたんだ。病気のことも、家のことも」


「家のこと?」


「小さいころから感じてた。親の愛は、全部兄さんのものだって」


「そんなこと・・・」


「俺はいらない子なんだって、ずっと思ってた」


切なく笑う愛人に声をかけることも出来ず、私はただ涙を流すことしか出来なかった。


「きっと好きとか愛してるって感情は、一生続かない。だから俺は、今美結を好きって思ってるこの温かな気持ちのまま、死にたい」


「好きも愛してるも、一生続くよ」