秘密な花嫁~旦那様は同い年~

「聞いて、美結。俺は、美結にはいつも笑ってて欲しい」


「マー君・・・」


「だから、別れよう。思い出が増える前に」


「やっ」


溜っていた涙が、ポロポロと頬を伝う。


「今ならまだ大丈夫。お互いなにもなかったときの関係に戻れる」


「そんなの無理だよ」


「わかって、美結」


優しい愛人の香りに包まれる。


抱きしめられてる腕が温かくて、このまま別れるなんて心が張り裂けそう。


「俺が死んだあとに、美結が泣くのは嫌なんだ」


「じゃあ、死なないで。手術受けて、マー君」


「手術の成功率は30%以下。何回も手術してる医者でもそう言うんだ。だったら俺は、このまま自然に心臓が止まるのを待ってた方がいい」


「私は、イヤ」


「ごめん、美結」