秘密な花嫁~旦那様は同い年~

泣いちゃダメ、泣いちゃダメ。


呪文のように、自分に言い聞かす。


「マー君は、死なないもん」


ぐっと涙をこらえて出てきた声は、とても小さなものだった。


「いいよ。そんなこと言わなくて」


「言うよ。だって、マー君は死なないんだから」


愛人と目がバッチリ合う。


「死ぬなんて言葉、簡単に言わないでよ」


「俺の命でしょ?俺が言ってるんだから、問題ないじゃん」


表情の無い愛人からは、なにも読み取れない。


「マー君は、生きたくないの?」


「俺は、生きたくない」


はっきりそう言った愛人に、目眩を感じる。


「なんで・・・」


やっぱり零れそうになる涙を、唇を噛みしめてなんとかこらえる。