ママが私の目を見つめた。


「これだけは忘れないで欲しいの。病気になって一番辛いのは、愛人君よ」


「ママ」


「本当は、やりたいこといっぱいあると思う。美結がどうして愛人君が病気なのって思ったように、愛人君だってどうして僕が病気なんだって思ったことが数え切れないほどあると思う」


「うん」


「手術をしない限り、愛人君には常に死が付きまとう」


「ママ!」


死という言葉を発したママを、思わず睨んでしまう。


「ごめん、美結。でも病気の人の傍にいるってそういうことだと思うの。それなりの、覚悟が必要だって」


それなりの覚悟。


それは死を含めたすべて。


「美結は、愛人君を支えてあげられる?」


「支える・・・」


「笑顔で、隣に居てあげらるかな?」


「ママ・・・」