「どうして急に・・・」


「美結様、あちらでお話いたします」


病室の前のベンチに座っていた私を立たせると、病室から離れたラウンジに連れて行かれた。


もうすぐ面会時間が終わるのか、ラウンジの前をお見舞いに来た人たちが足早に通って行く。


向き合うような形で席に座ると、一柳さんが重い口を開いた。


「このような発作が起きるのは、今回が初めてではありません」


「どういう意味ですか?」


なにか悪いことを聞かされそうで、ドクンと強く心臓が波打った。


「愛人様は、心臓がお悪いのです」


「心臓・・・?」


身体の血が、一気にサーっと冷えていくのを感じた。


「生まれたときから、心臓にご病気を抱えております」


「そんな・・・」


「愛人様は幼いころより、いろいろ制限のある生活を送ってまいりました」


一柳さんは、静かに語り出した。