秘密な花嫁~旦那様は同い年~

それから私は一冊、愛人は四冊の文庫を買ってショッピングモールを出た。


「曇ってるね」


「ああ」


ここに来たときは晴れていた空も、あれから何時間かたった今はどんよりとした雲に覆われていた。


夜が近づいてるのもあるけど、それ以上に雨が降りそうだった。


「雨、降るのかな?」


「さあな。行こう」


手をつないで、行きに降りたバス停とは反対側のバス停に向かう。


「あっ・・・」


半分くらい歩いたところで悪い予想は当たり、急に雨が降り出した。


しかも小雨なんかじゃなくて、本格的にザーザーと音が鳴るほどに。


「走るぞ、美結」


「えっ!?」


急に愛人に手をグッと引かれ、バタバタと私たちは走り出した。


屋根のついたバス停に着いたときには、二人ともぐちゃぐちゃに濡れていた。