それからしばらく沙奈と話していると、教室の後ろのドアから愛人が教室に入って来た。


愛人に会うのは、夏休み前半に私が愛人の家を訪ねて以来。


約1か月ぶりに見る愛人は、少し痩せた感じがした。


うんん、痩せたっていうよりやつれたって言葉の方が合ってるかも。


「マー君、おはよう」


席に着いた愛人に、思い切って声をかけてみる。


あっ、無視されちゃった。


愛人は一切私の方を見ようとせず、鞄から本を取り出して読みだした。


「仲良かったっけ?」


突然愛人に声をかけた私を不思議に思ったのか、沙奈が聞いてくる。


「少し・・・パパの仕事の関係で」


「そっか」


私を見てもくれないんだね。


すっごく悲しい。


私、嫌われちゃったんだよねきっと。