あれから、愛人に会うことなく夏休みが終わった。


私からも、なんとなく連絡出来ない状態。


もう会うのはよそう。


その言葉がどうしても引っかかる。


一柳さんはああ言ってくれたけど。


私から会いに行って、拒否られたらどうしよう。


そう思ったら、心も身体も動かなくなってた。


「美結、今日から学校よ」


ママがまだ眠そうな顔をして、私の部屋を覗いてきた。


「うん。起きてる」


「よかった。みんなで朝ごはん食べましょ?」


「うん」


朝が苦手なママはパパと結婚してからずっと、パパに起こしてもらってるんだって。


でもね、その起こし方は秘密らしい。


ママ専用の、目覚まし時計があるんだって。