「はい。だから、愛人様の気持ちが落ち着くまで待っていただけませんか?」


「マー君の気持ちが落ち着いたら、また私と会ってくれる?」


さっき愛人に言われた言葉を思い出した。


もう、会うのはよそう。


その一言で、なんだかもう愛人に会えないんじゃないかって。


そう思ってしまった。


「ええ。きっと」


ルームミラーに映る一柳さんの顔が、優しく微笑んでいた。


「マー君は、何を悩んでいるの?」


「それは、私の口からは言えません」


「私は、マー君の役に立てますか?」


「ええ」


愛人に抱きしめられた感触が、まだ残ってる。


そのぬくもりが消えないよう、私は自分の身体をぎゅっと抱きしめた。


「美結様は笑顔で、愛人様の傍に居てあげてください」