秘密な花嫁~旦那様は同い年~

それなのに愛人は、私に優しくする。


私は愛人の胸元のシャツをギュッと握った。


「・・・き」


「ん?」


「好き、愛人」


思わず出てしまった言葉。


愛人が一瞬身体を固くした。


お願い、突き放して。


あの冷たい目で、私を突き放して。


そしたら、諦めるから。


もう好きって言わないから。


「美結」


聞き取れないほど小さな声で、愛人が初めて私の名前を呼んだ。


私の思いとは裏腹に、私を抱く愛人の腕に力が入る。


「ごめん、美結」