秘密な花嫁~旦那様は同い年~

「俺に謝らないといけないことでもしたの?」


愛人がそっと私の顔を覗き込んで、細くて長いきれいな指で私の涙をすくう。


「マー君、ずるいよ」


あなたの優しさはずるい。


私はまた、愛人の胸に顔を戻した。


なんで愛人は、私のこと好きにならないの?


好きにならないなら、優しくしないでよ。


思いっきり突き放して。


じゃないと私、あなたのことどんどん好きになる。


愛人のこと、好きにならないって決めてた。


知りたいって思っても、仲良くなりたいって思っても。


好きにだけはならないようにって。


だって愛人に恋しても、辛いだけ。


愛人は私のこと、好きにならないから。


好きになってもらえない相手に、恋をしても辛いだけだから。