話があるって言うのは、ちょっと嘘。


ほんとは、誠さんにお願いがあるの。


ものすごくお節介なことだけど。


人の家の事情に首突っ込んじゃいけないってわかってるけど。


誠さんの部屋のドアを叩くと、トントンと軽い音がした。


「はい。どうぞ」


「あの、美結です。入ってもいいですか?」


「美結さん?どうぞ」


中から少し驚いた、誠さんの声がした。


「失礼します」


ドアを少しだけ開けて、部屋の中に入る。


「何か用?」


「あの、コーヒー届に」


「わざわざ?ありがとう」


誠さまは、笑顔で私からカップを受け取った。