「何しに行くつもり?」


愛人が口を開いた。


「何しにって、コーヒー渡しに」


「別にあんたが行く必要なくない?」


「そうだけど・・・ちょっとお話したいなって思って」


「あの人と話すことなんてあるの?」


「ある」


「愛人様」


メイドさんが私たちの顔を見比べる。


「持って行かせてあげて。一度言い出したら、聞かないから」


そう言って愛人は、大きくため息をついた。


「では美結様。お願いできますか?」


「はい」


「お部屋までご案内しますね」


メイドさんに連れられて、誠さんの部屋に向かう。