「誠様、いつものものでよろしいでしょうか?」


「ああ。頼むよ」


メイドさんと会話をすると、誠さんは2階に向かった。


「いつものって何?」


「知らない」


愛人に聞いてみても、興味無さそうな返事が返ってきた。


しばらくすると、ふわーんと鼻をくすぐるいい匂いがした。


「コーヒーの匂いだ」


「誠様は、いつもコーヒーをお飲みになるんですよ」


近くにいたメイドさんが教えてくれた。


「へーそうなんですか。部屋まで持って行くんですか」


「はい」


「それ、私が行っても構いませんか?」


「えっ?美結様がですか?」


メイドさんは驚いた顔をし、愛人も今までにないくらい私を見つめた。