いつかなんか言っときながらも、愛人の顔には微かに笑みが浮かんでいた。


やっぱり、一人より二人でご飯食べた方がおいしいもんね。


会話がなくても、妙に心地良い愛人との空間。


どうしてこんなに、落ち着くんだろう。


食事が終わってメイドさんが紅茶の用意をしてくれるのを断って、自分で淹れる。


「どうぞ」


「ああ」


紅茶を愛人に差し出してる私。


なんか、パパとママみたい。


「いつもと違うかな?」


「別に。うまいよ」


初めて愛人がおいしいって言ってくれて、なんだか嬉しくなった。


「おかえりなさいませ」


二人で紅茶を飲んでいると、メイドさんの声がした。


「誰か帰って来たよ?」