秘密な花嫁~旦那様は同い年~

「ふーん。マッチ売りの少女」


「うん。なんか、懐かしくて。マー君も、読んだんでしょ?」


「小さいころな」


「この話って、悲しいよね。女の子が死んじゃって」


「そうだな」


「でもね、私はこれでよかったと思うの」


「なんで?」


「天国で幸せになったから。この子はきっと、生きてたころより、死んだあとの方が幸せになったんだよ」


「死んだあとか・・・」


「マー君?」


愛人が一瞬、寂しそうに笑った。


「いや、何でもない。行くぞ」


「うん」


本を片づけて、階段を下りた。


部屋に入ると、もう食事の用意が出来ていた。