秘密な花嫁~旦那様は同い年~

そう言って愛人は、切ない笑みを浮かべた。


いなくなるって意味が、よくわからない。


それでも愛人の切ない笑みを見ると、なんだか無性に泣けてきた。


「なんで泣く?」


「ごめっ」


「あんたは、泣くのが趣味なの?」


「ちがっ・・・でも」


「でも、なに?」


愛人が真っ直ぐ私を見てくる。


「・・・いなくならないで。よく分かんないけど、そんな悲しいこと言わないでよ」


「悲しいの?」


愛人が一歩、私に近づいた。


「マー君いなくなったら、私泣くと思う」


「今だって、泣いてるじゃん」


ふと、愛人の表情が緩んだ。