本を持って、勢いよく部屋を飛び出した。


決めたら即実行しないと、気持ちが萎えちゃうような気がしたから。


なんせ、苦手な福田家を訪ねようとしてるんだから。


「美結様、どうかなさいましたか?」


キッチンを覗いていると、三井さんが声をかけてくれた。


「あのね、グレープフルーツゼリーを作りたいんだけど」


ママの本を広げて、三井さんに見せた。


「いいですよ。ちょうど、おいしいグレープフルーツがありますから」


「わーありがとう」


「美和様のお菓子はとてもおいしいですからね」


「うん。ママのように作れるか、わからないけど」


三井さんは、小さいころからよく私と遊んでくれたシェフ。


遊んでっていっても、料理の味見をさせてくれたり。


ちょこんとキッチンを覗くと、いつも笑顔で迎えてくれた。


「よし、始めよう」