秘密な花嫁~旦那様は同い年~

しゃがみ込んで落ちた本を拾って、愛人に差し出す。


「マー君・・・?」


そこには、さっきとは明らかに様子が違う愛人の姿があった。


「えっ?マー君、どうしたの?」


なんか、苦しそう。


左手で胸元のワイシャツと掴んで、顔をしかめてる。


「マー君、苦しいの?」


「な・・・んでもない」


「なんでもないって・・・」


何でもないわけない。


すっごく苦しそう。


ここは涼しいはずなのに、額にはうっすら汗が浮かんでる。


「誰か、呼んでくる」


そう言って立ち上がろうとしたら、愛人に手を掴まれた。


「いい。なんでもないから」