秘密な花嫁~旦那様は同い年~

「ねっ、少しだけ」


「行かない」


「ちょっとだけ」


「しつこい」


「ねぇ~」


テーブルにのってた愛人の左手を取って、ブンブン揺らしてみた。


「しつこいんだよ」


愛人に手を払われてしまった。


「もーいいよ。マー君のバカ」


私は諦めて立ち上がった。


愛人に背を向けると、ワザと私に聞こえるような大きなため息をした。


「マー君のバカ。せっかく誘いに来たのに」


図書室を出ようと足を一歩前に出したとき、背中の方からバンっと大きな音がした。


その音にびっくりして後ろを振り返ると、愛人が本を落としたところだった。


「マー君、本落ちたよ?」