平気なわけないじゃん。


そんなこと言われて、平気な人なんていないよ。


この家には愛情なんてない。


そう言いきった愛人。


愛情いっぱいに育てられたあんたには、耐えられないって。


「ふ~」


車の中で、ため息をついてしまった。


「疲れましたか?」


「少しだけ」


「着いたら起こしますので、少し横になられたらどうですか?」


「ありがと、笹野さん」


シートに身体を横にした。


動いたときに、愛人の香りが少しだけした。


「マー君・・・」


あなたは、愛を知らないの?