「そんなのダメだよ!」


廊下を歩いていると、パパとママの寝室からママの声が廊下に響いた。


私は少しだけ開いていたドアの隙間から、中の様子を覗く。


部屋の中には、ソファーに座ってるパパの姿。


と、なぜかパパの膝の上にお姫様状態で座ってるママ。


「大丈夫だから。そんな顔すんな」


「うん」


そっとママの髪をすくって、パパがママの髪を耳にかけた。


「この話は断る」


「うん」


「だいたい今の世の中、仕事上の提携にそんな条件出してくるなんてありえないから」


なーんだ。


仕事の話か。


私にはあまり関係ない話だから、そっとドアを閉めようとした。


パパの仕事には興味があるし、役に立ちたいと思ってる。