ヘタレ船長と二人の女海賊

「欲しいな、その船」

俺の呟きに、アンが、メアリが、仲間の船員達が笑った。

戦闘はできねぇし、ヘタレで腰抜けの船長。

しかし俺は、船員達に全幅の信頼を置かれていた。

何せラカム一味がここまで有名な海賊団に成長したのは、俺の手腕だと船員達は考えている。

そして、アンのピストルの腕前やメアリのカットラス捌きを海賊稼業で十二分に生かせるのは、俺の戦略があってこそだ。

船員達もそこの所をよく理解しているのだ。

これまでの略奪行為で、俺が下手を打った事はない。

今回も大儲けが期待できる。

船員の誰もがそう信じて疑わなかった。