「もしもし…」

「あ、桐ヶ丘高校の者ですが
 伊沢さんですか?」

「!?…は、はい!」

「本日の面接なんですが、
 急遽13:30からのところ
 13:00に変更をお願いしたいのですが…」


腕時計を見ると12:35と表示されていた。
ここから桐ヶ丘高校までは
電車で20分もかかる。

「え…あ、はい。わかりました。」

「すみませんね。それでは13:00に
 お待ちしています。」


電話を切った途端、
急いで鞄を持ってお会計を済ませ
カフェを飛び出した。
全速力で一目散に駅へ向かった。







「お客さーん…お客さーんっ!!」

走っていると後ろから大声で叫ぶ女の人の声がした。
何気なく振り替えると、白い封筒を振りながら
全速力で走ってくる女の子が見えた。


「…!?あーっ!!!!!」

それは、紛れもなく僕の履歴書などが
入っている封筒だった。



「はぁ…はぁ…間に合ったぁ…」

息を切らして肩を大きく上下させ
彼女は僕に白い封筒を手渡した。


「これ…大事なもんでしょ?」

「ほんとすみません!助かりました。」

「いいからいいから
 それより頑張ってね、面接。」

「え?なんでそれ…」

「履歴書入ってたから。」

そう言って彼女はニコっと笑った。
僕より年下であろう彼女のその笑顔に




僕は…一目惚れした。