* * *
ミツキは、神奈川からの転校生だった。
中二の春。
彼は、あたしの前に現れた。
「秋本ミツキです。
神奈川から父親の仕事の都合で来ました。
えーっと、よろしく。」
栗色の癖っ毛。
ぱっちりした目。
かわいい顔立ち。
まっすぐ見つめられたら、大抵の女子は気を許してしまいそうな男。
「秋本ミツキ」
そんな転校生にあたしが抱いた第一印象は、
なぜか、
「なまいきそう」だった。
「えーと、
秋本君のとなりは・・・」
そう言って、教室全体を見回す担任と
これまたばっちり目があった。
げ・・・
これは、まさか
「そうね、隣は宮野さゆさんがいいわね。」
お約束ー!!
「チッ」
気のせいか、担任が悪魔にみえた。
ていうか、今あの秋本って奴舌打ちした!?
舌打ちしたいのは、こっちだっつーの!!
なんか、
むかつくー!!!
「じゃあ、さゆさんは秋本君に校舎の案内と
教科書が届くまで、見せてあげてね?」
「・・・はい」
別にいいんだ。
転校生が、どうだって。
あたしは楽しく心やすらかにすごすんだ。
知らない
知らない
「あのさあ・・・、」
隣の秋本は、席に着くなり話かけてきた。
そして、なんで無視できないかなあ、あたし。
「さゆだっけ?
オレこっち来たばっかだから」
「だから何?」
そして、秋本の口から出た信じられない一言。
「東京案内してくんね?」
・・・・、
案・内してくんね?
「は?」
「んじゃ、決定ー」
って、
ちょっと待て!!
「あたしは、いいなんて一言もっ!!」
「うるせぇ、
勘違いすんな。お前じゃなくてもいいけど使えそうだから
頼んでんだよ」
マジ、むかつく。
あたしが

