「さゆ・・。」
ミツキはそう言い、アタシにゆっくり近づいく。
あたしの目をまっすぐ見る。
なんだろう?
まるで、あの頃に戻ったみたいだ。
ミツキは、なにも変わってない。
ただ、
あの頃より少し背が伸びた。
「久しぶり、さゆ・・・。」
「久、しぶり」
絞り出すように言った一言。
これ以上、言う言葉が見つからなかった。
もっと他に言いたいことは、たくさんあるのに
全然ことばにならない。
ミツキから目をそらすことができない。
まるで、金縛りにでもあったかのように・・・。
あたし、動揺してるのかな?
ううん、
きっと、信じられないんだ。
こんなふうに、
ミツキと向かい合ってることが。
そういえば最後に、向かい合ったのはいつだっけ?
最後、
最後は
ああ、
『あたし達が別れた時、』か。
そう、あのとき以来・・・。
あの別れは、あたしにとって痛い現実をつきつけられたような気分だった。
何も知らない子供なあたしが現実を知った瞬間でもあった。
すべては、ミツキに出会ってから。
あの日、あたしはあんたに出会った。
中二の春。
あんたに出会ったんだ。

