「もう、こんな時間だな」
「ほんとだ。」
気がつくと、時計は七時を回っていた。
時間なんて、すっかり忘れてたのだ。
「そろそろ、帰らなきゃ。」
あたしがたつと、
彰悟も立ち上がった。
「送ってくよ」
「うわ、すごい雨だね。」
「ヤバいな、これ。
さゆ、寒くない?」
うん。
寒くない。
だって、彰悟が傘をあたしにばかり
かけてくれるから。
「彰悟、ありがとう」
「・・・なにが?」
ちょっと、とぼけた顔をする彰悟。
うそ、
分かってるくせに。
「ここまででいいよ。
送ってくれて、ありがとね」
あたしは、家まであと10分程の所で、
そういった。
さすがに、彰悟が風邪ひきそうだし。
「でも、すぐそこだよ?」
彰悟は、ちょっと不本意な顔をする。
「すぐそこだから、大丈夫。
風邪ひくなよ?」
あたしが、ちょっと小馬鹿にしたように
笑ってみせると、
彰悟の手が、あたしの頭をクシャッと撫でた。
「それ、俺のセリフ」
「またね、」
「ああ、」
そう言って、
別れた。
この時、もし彰悟に送ってもらってたら、
こんなことには
ならなっかたのかもしれない。

