翌日




「もう!音楽棟ってどこぉ?」



広すぎる敷地内で、私は迷子になっていた。

どうやらここは得意分野ででクラスが分けられているらしく、フルートが好きな私は音楽クラスのA組になった。
…けど、そのA組の教室がある音楽棟が見つからない。

そして現在、私がいるのは森っぽい所。
なんで森があるのかわかんないけど…。

ガサッ

前の方で音がした。
誰かいるのかな?

私がそっと近づくと男の子が寝ていた。ここの制服をきているから、ここの生徒であることはまちがいない。


暗闇みたいな真っ黒の髪。少し長めで細い猫っ毛だ。整ったきれいな顔に、長いまつげが影を落としている。
そっと開かれる瞳。蒼みがかったきれいな透き通った瞳。
すごく、きれい…。

「何見てんの?」
低くて艶をおびた声がしてその人は起き上がった。


「あっごめんなさいっ。」
きれいな顔についみとれてしまった。それにあの瞳に見つめられて、動きたくなくなってしまった。

「お前って転校生?あの女の。」
「え?あ、そうです、けど…」
どうやら私のことを知っているらしい。

「ふ〜ん…お前、迷子な訳?」
図星のことを言われ、黙り込む私。


「まっ俺に関係ないけど。」
そう言ってたち上がったその人を、私は急いでよびとめた。
「待って!あの、あなた…誰?」


「…俺は咲夜葵。覚えておいて損はないだろう。」


その人が立ち去ってから私はハッとした。
私…迷子だった…。どうしよう…。
そう思って瞳を下に向けると、半分におられたメモが落ちていた。

「これって地図?」
そう、それは森から音楽棟への地図だった。そして私はあの人の優しさを感じた。