「でかっ…。」

私は無駄に大きな校門を見てそう呟く。



私が編入する聖夜学園(って言っても高校しかないらしい)は、恐ろしいサイズの学校。

その膨大な敷地を、高いレンガ壁が囲んでいた。




ピーンポーン

門の横の壁についていたチャイムを押すと、品がいい女の人(たぶん事務員さんかな?)が対応してくれた。
「では、校長室へご案内いたします。」



コンコン

「失礼します。」

広すぎる学校の中を警備員さんに案内してもらっていった校長室。

中に入ると優しい笑みを浮かべた男の人が口を開いた。
「待っていたよ、鈴ちゃん。ようこそ、聖夜学園へ。」
「これからよろしくお願いします。」
私はそう言って頭を下げた。



「にしても大きくなったねぇ鈴ちゃん。私は君が赤ん坊の頃に会ったきりだったからなぁ。
私と君のお父さんは学生時代の友人でね。君を転入させてほしいと言って来たんだよ。
にしても、よっぽど君をうけいれてくれる学校がなかったのかな?男子校のここにいれてほしいだなんて…。」

黙って校長先生の言葉をきいていた私は固まった。

「え…男子校って…」
たしかお父さんの話では共学だったはずじゃ…。

「聞いてないのかい?ここ聖夜学園は全寮制の男子校。生徒の自由を尊重しているこのへんでは有名な人気校だよ?」


私の頭は完全にフリーズした。

まただ。
またお父さんは、よく確かめもせずに…。
はぁ…しょうがないなぁ。

お父さんの抜けっぷりに慣れている私はすぐに復活した。


それから話あった結果、私の寮は『美月寮』に決まった。