家に帰って部屋着に着替え、私はのんびりと音楽鑑賞をしていました。

私が聞くのはほとんどがクラシック音楽ばかり。
正統派からマニアックなものまで、好き嫌い無く聞いています。

するとその中で間抜けな電子音がいたしました。その正体は紛れも無く最近購入したばかりの携帯電話。
イオが設定してくれたシェヘラザードの着信音が鳴り響きます。

私は携帯電話の通話ボタンを押します。


「もしもし?」

「マコ?シーナだけど。」


その瞬間、私の心臓は跳ね上がりました。

何故シーナが電話を!?緊張と興奮で声が上ずってしまいます。


「シーナ!?どうなされたのですか?」


するとシーナは電話の向こうでクスクスと笑っています。


「そんなに驚かないでよ。今度出かけようって言ったのに、何も予定を決めてなかったからさ。
マコ、行きたいとことかある?」

「えっと・・・御免なさい。急に言われたものですからすぐに浮かばなくて。」


私は無い知恵を絞りながらも、一生懸命シーナが行きたそうな場所を考えました。

美術館などいかがかしら?
ああ、でもシーナはどんな絵が好きかわかりません。


「私はお買い物ができればそれでいいです。シーナがよろしければ、ですけれども。」

「お店ってこの前着てたようなお洋服を売ってる店?」


シーナが言っているのはBABY,THE STARS SHINE BRIGHTのようなロリヰタ服だとすぐにわかりました。


「ええ、そうですけれど・・・。」

「ならよかった。僕、マコがどんなお店であんな可愛い服を買うのか見たかったんだ。」


なんだかその言葉が嬉しくて、私は照れてしまいました。

シーナは私では無くお洋服を可愛いと言ったのに、自分が可愛いと言われたような錯覚に陥ります。