サボはお得意らしいピッキングで私の家の鍵を開けたようです。
一言連絡をいただければ、すぐに対応いたしましたのに。
サボの考えていることはよくわかりません。


そして今の私の状況と言えば、蛇に睨まれた蛙とでも言いましょうか。

シーナに思い切り睨まれ、私は呼吸をすることすら困難です。

イオとサボとトラは別の部屋で談笑をしている様子。
笑い声が私の部屋にまで響き渡ります。


「で、あの人は誰?」


シーナがご機嫌斜めなのはトラが原因です。


「ただの友人です・・・。」

「本当?」

「本当です。」

「証拠は?」

「トラに聞いていただければわかります。」

「二人で口裏合わせることだってできるんじゃない?」

「そんなこといたしません!何故信じてくれないのですか?」


シーナがトラのことを執拗に聞く理由はわかりません。
まるで私が浮気をして、尋問をされているようです。

恋人同士でも無いのに、さっきからずっと押し問答ばかり。


「どうしたら・・・信じてくれますか?」


私はシーナのことしか好きでは無いこと。
それはシーナもわかりきっている筈。

するとシーナは悪戯っぽく笑って言いました。





「そうだな・・・。

僕にキスしてくれたら信じる。」






・・・・・・・・・・・・・・・は?


この人は、一体何を言い出すのでしょうか。