イオは私の家に泊まると、必ず同じベットで眠ります。
まるで双子のように。姉妹のように。

お風呂を済ませ、私はドレッサーで髪をとかしていました。


「ねえマコ、さっきの話だけれど・・・。」


イオが口を開きました。
私の唯一の友人で、過去をも知っている。

私は黙って髪をとかし続けます。


「私は戻った方がいいと思うの。
マコはそれでは不本意だと思うし、プライドもあるだろうけど、そんなことを言っている場合じゃ無いと思うの。」

「イオまでそんなことを言うんですね。」


私は正直、酷く気分を害しました。
イオはそんなことを言わないと思っていましたから。
寧ろ私の決断を肯定してくれると思っていました。


「私がとやかく言える立場じゃないっていうのはわかってる。
けど、トラさんの顔見たでしょ?あんな顔、私初めて見たもの・・・。」


それは私も同じです。
長年付き合ってきた仲ですが、あれほどまでに私を懇願する目は初めて見ました。


「けれど、どうにかなることではありませんもの。
私はもう嫌なんです。あんな生活に戻るのは。」


イオは俯きました。



もう私はいなくなったのです。
あのころの私は死んだ。自分に何度も言い聞かせました。

私は何も知らないロリヰタ。
何も迷うことは無いですし、考える必要も無いのです。


すると突然、玄関のドアが開く音がしました。


「マコ・・・?今何か音が。」


私とイオは硬直しました。