車の中、イオの体は小刻みに震えていました。
辛さも、悲しみも、苦しみも、全て二分にできたらいいのに・・・。

私はイオの手を握りました。


「もう、大丈夫ですから。安心してください。」


イオは力無く笑顔を見せました。


「マコ、今日は本当にありがとう。
もし貴方が来てくれなかったのなら、どうなっていたか・・・。」


声を震わせてそう言うイオは、いつもの気丈なイオとは別人のようでした。

ハートの女王の貫禄などありません。
普通の、一人の女の子です。



私はそれを見て酷く自分がちっぽけに思えました。

親友が傷ついているというのに、私は何ができましょう?
何をしたのでしょう?


私は無力です。

慰めることもままならない、小さな人間・・・。



今まで黙って見ていただけですが、私はもう我慢の限界を迎えました。


イオの悲しむ顔は見たくありません。
私の中のイオは、いつも余裕を持った微笑をもらし、気高く、気品が溢れ、何事にも負けない強い心を持つ女性。



こんなイオは、もう見たくない。



私の中で小さな感情が生まれました。