男性と隣り合って歩くのは、もしかしたら初めてかもしれません。

シーナはとても背が高く、私と歩いていると身長差が目立ちます。
私はより小さく見え、シーナはより大きく見える。

また・・・あの香水の香りがします。


「この前のことだけど・・・。」


シーナが言いづらそうにそう呟きました。
やはり、そのことからですか・・・。

まあ、話すことなどそれしか無いのですが。


「あれって、その・・・。僕を異性として見て“好き”ってことだよね?」


“好き”という単語の前に少し間がありました。

なんだか泣きそう。
この感情が何かわからないけれど、涙が出そう。

けれど私はそれをこらえ、伝えるべきことを伝えようと思いました。


「私、ずっとシーナのことが好きでした。
初めて会って図書館で助けてもらった時から、ずっと好きだったのです。」





ああ・・・言ってしまった。


黙っていれば違う道も歩めたかもしれぬというのに。

私はずっと地面ばかりを睨んでいました。



今、シーナの顔を見るなんてことはできません。

私は弱虫だから・・・。



「それは僕が同性愛者だって分かった今も、変わらない?」


私はすぐに頷きました。



「サボからそれを聞いたときに、シーナのことは諦めようと思いました。
そうすればシーナも私自身も傷つかなくて済むと・・・。

けれど、無理でした。

貴方と会う度に好きな気持ちは増す一方で、諦めるなんて無理でした。
できるはずなど無かったのです。

だってシーナはいつも私に優しくて、素敵で、それでいて・・・!!!!。」








その瞬間、私の視界が一変しました。