頭の悪い私がつい口を滑らして言ってしまった言葉。

“その方は女性ですか?”なんて“貴方は同性愛者ですか?”と聞いているのと同じようなものでは無いですか!

ああ、大失態。


そんな私を見てシーナはクスクスと笑いました。


「マコって本当に面白いね。」


シーナに笑われると、なんだかものすごく恥ずかしいのです。
世界中で一番の赤っ恥をかいた気分になります。


「サボから聞いたんだね。僕が同性愛者だって。」


私はゆっくりと頷きました。

シーナは決して表情を崩さない。
自ら同性愛者だと宣言しているというのに、涼しい顔をしてカプチーノを飲んでいます。

もう、こんなことには慣れっ子なのでしょうか?


「正確には“だった”って言った方が正しいのかな。」

「だった?」


シーナは頷きます。


「前に付き合っていた人が男だったんだ。
でもその人を好きになる前は女の子も好きだったし・・・。
もしかして両性愛者なのかも。」


笑みをこぼしながらも、シーナは話を続けました。


「でもキスも関係を持ったのも男性が初めて。
僕らの年代の人って、不安定だったりして自分の性癖がよくわからない場合があるらしいんだ。
僕はその中の一人なのかもしれないし、本当に男性しか愛せないのかもしれない。
自分でもよくわからないんだ。」


「前に付き合っていた人って、もしかしてサボですか?」


するとシーナは大笑いをしました。

私は真面目に聞いているのに・・・。


「サボは好きな人がちゃんといるし、ストレートだから。
ただ恋をしてた時に僕のことをすごく理解してくれて、たくさん助けてもらっただけ。
僕が同性愛者だって言って、変な顔をしなかったのはサボが初めてだったんだ。」


シーナはそう言って自分のことを恥じらいもせずに話しました。

それが私の目にはとても羨ましく、そして美しく映りました。