猫とうさぎとアリスと女王

 今日は天気もよく、かと言って暑くはない過ごしやすい日でした。
カフェの中は大人の女性やカップルが話をしている様子。

たまにジロジロとこちらを見られますが、私はそんなことは気にもいたしませんの。

シーナが可愛いと言ってくれた。
それだけで十分。


無言のままで少々気まずくなった私は、勇気を出して聞こうと思いました。

チャンスは今しか無いのです。
そう自分を奮い立たせます。


「シーナは、付き合っている女性とかいらっしゃるんですか?」


ついに、口に出してしまいました。

けれど私は自分で自分を褒めてあげたい気分に駆られました。
頑張って勇気を出した偉い子!

シーナはきょとんとしてから、意味深な笑みを浮かべます。


「マコには彼氏とかいるの?教えてくれたら言う。」


またその言葉に私の心は過剰なまでの反応を見せます。

そんなことを聞かれたら・・・ほんの少し期待をしてしまうではないですか・・・。
シーナの馬鹿・・・。


「私には恋人も何もいません。ほら、言いましたわよ。」


次はシーナの番。

カプチーノを飲みながら、シーナは言いました。


「いないよ。」


よかった・・・。どうやら今はフリーのようです。
それがわかっただけでも良かった・・・。

けれどついでと思い、私はまた質問を投げかけます。


「では、好きな方は?」


シーナは少し考えて言いました。

意中の方が、どなたかいるのかしら・・・。


「好きって言うか、忘れられない人ならいるかなあ・・・。」


その顔は今までに見たことの無い、寂しげな諦めたような表情。


「その方は、女性ですか?」




・・・は?

えっ?えっ?私何を口走っているのでしょう!
ぼんやりとしていたら口が勝手に・・・。

シーナは驚いたような顔をして私を見ています。

嘘・・・。私、最低・・・。