猫とうさぎとアリスと女王

　荷物を全て運んでもらい車に乗り込もうとしていると、不意に声をかけられました。


「マコ？やっぱりマコだ。」


振り返るとそこにはシーナが微笑んで立っていました。


「シーナ！？何故ここに？」

「ちょっと用事があってさ。マコは？」

「私はお買い物に来て、今帰ろうとしていたところです。」

「時間ある？どこか寄ってお茶でも飲んで行こうよ。
せっかく会ったんだからさ。」


私は迷いました。

勿論シーナとカフェで同じ時間を過ごせるのは光栄なことです。

けれど私の今の格好は、バリバリコテコテのロリヰタ。
シーナに迷惑がかかるのではないかと心配でした。


「シーナ・・・その、お気持ちは嬉しいのですが、私こんな格好ですから・・・。」


私が俯いてそう言うとシーナは笑いました。


「それ、僕のセリフ。」


言われたことが理解できずにシーナの服装を見て、やっと理解ができました。

シーナは白いシャツと黒いパンツを履いていたのですが、それが・・・非常に汚いのです。
汚いと言っても清潔感はあるのですが、所々に赤や黄色や緑の絵の具のようなものが付着しているのが見えます。
その上履いているのはサンダル・・・。

正直、もう少しいいものを着たら見栄えはよくなると感じました。


「ごめんね、急いで来たからさ。まさかマコに会うなんて思わなくて。」


シーナは苦笑いをして言います。


「それにマコ、すっごく可愛いし似合ってるよ。
マコの為に作った服みたい。だから“こんな格好”だなんて言わない方がいいよ。」


また、胸が高鳴りました。

シーナって自分がどれだけキザな言葉を言っているのかわかっていないのかしら？



シーナの一言一言が、私を夢中にさせるということを。