「風はちょっと強いけど、いい場所だろう?いつもここでぼんやりしてるんだ。
サボもたまにここに来て、一緒に話したりするんだ。」


確かに風は少し強く、私の髪が風に靡きます。
けれど、とっても素敵な場所・・・。

閉塞感も何も無い。
社会や学校のルールも束縛も無い。

ここだけ鋏で切り取ってしまったような、そんな感覚さえします。


シーナは手すりによりかかって空を見上げました。
逸らした喉が・・・白くて綺麗・・・。

目を瞑って風を感じるシーナはあまりにも美しくて、私は見惚れてしまいました。


そして気付いたのです。



私、やっぱりシーナが好きです。

諦めるだなんて無理です。
想いを断ち切るなんて無謀だったのです。


もう、自分に嘘はつかない。

私はシーナが好き。


だってこんな気持ちになったのは初めてですもの。
ギャスパー・ウリエル様にもこんなにときめいたことはありません。


今だって胸がドキドキしている。

この胸の高鳴りが、シーナに聞こえてしまいそう・・・。



するとシーナが突然、私を見ました。
胸の高鳴りは最高潮。

爆発しそうなくらいに脈を打っている・・・。


「マコの髪、サラサラだね。風みたい。」


黙っていればとてもクールで大人びて見えるのに、偶に私に見せる笑顔は無邪気で子どものよう。



もう貴方に奪われた心は、永遠に返してもらえないかもしれません。