その後お父様とお母様がお見舞いに来てくださいました。

ヴァインズのリーダーだった時にはこんなことは日常茶飯事でしたから、二人とも驚きはしませんでした。
けれど以前にも増して私の身を案じてくれていたようです。

それは、とても嬉しかったです。



そして三人で再び一緒に暮らそうということをお父様が言ってくださいました。

またあの家で家族一緒に暮らせる。
そう思うと涙が溢れました。

また舎弟の方々に会えるというのも嬉しかったです。
皆さん優しい方々ばかりでしたから。


泣きつかれた私はその後、いつの間にか眠っていました。
鎮痛剤の副作用なのかいつもよりよく眠れた気がいたします。

目を覚ませば辺りはとっぷりと日が暮れており、病室には誰もいませんでした。


真っ暗な部屋の中、月明かりだけが私を照らします。


すると病室のドアが開く音がしました。
目を向ければ、入って来たのはシーナ。


「ごめん、起こしちゃった?」


私は体を起こしてシーナを迎えます。


「いいえ。丁度目が覚めたところですの。」


シーナはそう、と呟き窓の外に目をやります。


「今日は満月だね。すっごく綺麗だ。」




綺麗なのはシーナの方でした。

月明かりに照らされるシーナはとても綺麗で、整った顔立ちがより端整にさえ見えました。
まさに王子様。


「何笑ってるの?」


私がくすくすと微笑を漏らすと、シーナが不思議そうに尋ねました。

笑ってしまったのは、少し前の事を思い出したから。
私はシーナを王子様と呼んでいたときのこと。

何故か思い出すと笑えてきたのです。



あの時は、こんな風になれるなどと想像もつきませんでしたから。