言いようの無い表情。
シーナは感極まった様子で私を見ています。


「シーナ?」


するとシーナは私を強く抱きしめました。


「よかった・・・。」


シーナの体は温かくて、とても心地よくて、夢の中の感覚と似ていました。


「もう、目を覚まさないんじゃないかって思った。
マコが死んじゃうんじゃないかって。
すごく怖かった。」


そんな風に呟くシーナが、私にはとても可愛らしく思えました。


「死んだりなんかしませんわ。
御免なさい。心配をかけるようなことをして。」


私はそう言ってシーナの背中に手を回しました。
広い背中、厚い胸板、大きな手。

シーナが私の手の中に居る。

とても温かくて心地よい。
さっきまで眠っていたというのに、また眠りに落ちそうです。


すると突然、けたたましい音と共に病室のドアが開きました。

そこに現れたのは・・・。


「お父様!?」


するとシーナも病室のドアの方へ視線を向けます。


「おい、てめえ・・・大事な娘に何してやがる・・・。」


お父様はシーナを睨みつけました。